【制作講座】満足いくイラストを完成させる方法~線画・着色編~

こんにちは創作ウサギブラザーズです。
今回は「満足いく作品を完成させる方法~線画・着色編~」というテーマでお話していきます。
全3回で今回は線画と着色についてのお話になりますが、これだけでも満足いく作品を完成させることに近づきますので、ぜひご一読ください。

この記事の動画版もあるので、もし良かったらこちらもどうぞ!▼

満足いくイラストを完成させる方法~線画・着色編~【ゆっくり解説】

さて、みなさんイラストを描いている途中であったり、完成間近に、「あれ?なんか全然描きたかったものと違うなぁ、根本から描き直したいなぁ、こんなの公開もしたくないしもう完成させるのやめようかなぁ」という状況を、経験しているのではないでしょうか。

今回はどうしてそんな事態になってしまうのか、その根底にある理由をお話しすると同時に、どうすれば満足いく作品を完成させることができるのか、私が実践している今すぐできる方法を紹介します。

・満足いく作品が完成しない理由

では、満足いく作品が、完成しない理由からお伝えします。

それは、光と影を落とし込めていないからです。

光と影を落とし込めていない結果どうなるか、線画、着色をただこなしていって、なんとなく形になったところで、いったん満足して、結果として自分が描きたかったものになっていない、ということになります。

そもそもとして、イラストというものは、最初にイメージを線として、具体化していってラフ画になって、そこから下書きや線画を起こして、着色して完成させていきます。

こういう形で線画・着色はイラストの屋根と外壁になっているということです。ラフ画の上に下書きの柱があり、線画や着色というのは、そこにどういう屋根や外壁を建てて、見た目を仕上げるかを考える段階です。

土台と柱がしっかりしていれば、外壁はそう大きく崩れませんし、塗装は人それぞれのスタイルもあるので、必ずしも絶対的正解がつかみにくいものです。しかし、完成度に関わる光と影は、イラストに落とし込めているに越したことはありません。

光と影を落とし込めていない場合、画面は色がついて完成に近づいていくのに、なんだかしっくり来なくて試行錯誤しますが、場合によっては線画まで行ったり来たりで、修正しながらイラストを描くのにも、大変な労力を必要としますし、着色も進んだあとになると、もう戻って作業なんてできません。
線画・着色で、最後の最後に嫌になるのは嫌ですよね。

なぜ多くの人が、光と影を落とし込めていないかというと、それは
光と影の明暗は最後にテクスチャを乗せればなんとかなる、
という気持ちになるから、これからの着色をなんとなくしていけばいい感じになると信じているからではないでしょうか。たしかに色さえ塗ればもうそれは完成といってもいいでしょう。
しかし自分が満足できていない中で、イラストの制作を終わらせてしまってはいけません。

もちろんイラストをたくさん描いていて、経験値がめちゃめちゃある人は、光と影を意識した線画・着色をスムーズに描き込むことができますし、そうでない人だって、なんか適当に描いていったら、いい感じの光と影になることももちろんあるんですが、この動画を視聴いただいているということは、どちらかと言えば、満足いく作品が完成しない線画・着色になっていることが、多いはずです。そこで私が実践している方法をここで紹介します。

・満足いく作品を描き切るための線画・着色を描く方法

満足いく作品を描き切るための線画・着色を描く方法、それは
これからお話する、光と影を描く五つのテクニックを使いながら描くこと
です。ではさっそくいきましょう。

一つ目、線画の太さを使い分ける。


線画を描くときに、太さが一定になっていないでしょうか、光と影を意識するんであれば、線の太さは一定になることはありません。

基本的な考え方として、光の当たる角度から見て、影が落ちる部分は太くなります。例えば、上から光が当たっているときのあごの下や、パーツの下部分です。さらに、明暗の差が大きくなる輪郭部分は、太くなります。逆に内側の細部は、細い線が中心になります。最後に、手前にあるものや、大きいものは輪郭も合わせて線を太くして、遠くにあるものや、小さいものは、細くしていくようにして、使い分けていきます。

二つ目、影になる交差点に影を入れる。


これは線画にワンポイントで入れるものですが、これを入れるだけで、影がついて立体感がいきなり出てきます。
主に影が落ちる部分で交差している点、例としては、前髪の重なっている部分、腕を曲げたときの隙間などの部分に入れていきましょう。

三つ目、黒を使わない。


描いている作品の中で真っ黒の黒、使ってないでしょうか。表現として黒を効果的に使うということも、もちろんあるんですが、ことカラーイラストにおいては、黒はあまりにも主張が強すぎるので、できることなら避けてイラストを制作した方がいいでしょう。

着色については、影で黒をつかわないようにすることです。線画については、描いている段階では見やすさから黒で描くことも多いと思いますので、描き終わったあとに、黒で描いていたものを変更しましょう。とりあえずワインレッドが汎用性があっていいです。余裕があれば、色トレスという方法で線画の色を、もっと自然な色にしてみるのも検討してみましょう。

四つ目、影をつけるときにベースの色から色相をずらした色にする。


着色で影をつけるときに、ベースの色から明度と彩度を調整して、影色を作っていませんか。影の色は基本的には色相も少し傾きます。具体的に言えば、黄色であれば、明度と彩度の調整だけで暗い黄色を作って影をつけるのではなく、色相もずらして黄緑に寄せたうえで明度と彩度も調整して、影をつけていきます。

五つ目、レイヤーを合成して仕上げをする。


着色ができてきたら、レイヤーを合成して、仕上げをしていきましょう。使うのは乗算、スクリーン、オーバーレイ、発光の四つです。乗算は画面を暗くするのに使います。スクリーンは逆に画面を明るくするのに使います。
オーバーレイは画面のコントラストを調整するのに使います。発光は光っている部分を表現するのに使います。

さて、ここまで五つのテクニックを紹介してきましたが、この方法全て、あとからでも割となんとかなります。
いったん自分の描きたいように、線画を描いて着色をしてみて、それで満足いかないようであれば、この方法を使ってみてください。線画を太くする、交差点に影を入れる、線画の色を変える、全てあとから線画レイヤーに描きたしたり、上書きをするだけです。

影色の色相をずらすのはすでに塗ってある影のレイヤーを、色調補正して変えることで色相をずらすことができます。レイヤーを合成するのは完全に後付けでできます。最初に描いている中で、もちろん意識できると一回でできていい部分もありますが、ラフ画や下書きのように、もう後戻りが大変なものではないので、まずは好きなように描いてみてもいいと思います。

・実際に下線画・着色を描く流れ

では光と影を描くテクニックを使いながら実際に線画・着色を描く流れを見ていきましょう。
今回はサンプルとして、この動画のサムネイルで使用したこのイラストをもとにしていきます。まずメインとなる人物や背景の輪郭部分を中心にして、下書きの線をもとに、線画を描いていきます。

レイヤーは頭部と体、背景の三つに分けて描いていきます。
ここではまだ線の太さであったり色であったりは特に気にすることなく、下書きの線から一番しっくりくる線を選んで、描いていくことに集中しています。

次に顔のパーツや髪の流れ、服のしわなど細かい部分を描いていきます。ここで一つ目のテクニックを意識して、線画の太さを使い分けます。細かいパーツになるので輪郭の半分から3分の1程度の太さで描いていきます。

次に二つ目のテクニックを意識して、影になる交差点に影を入れます。髪の先や顔との交差点、体と服との交差点を中心にして少し影を入れています。線画の見栄えが変わったのが伝わりますでしょうか。

次に三つ目のテクニックを意識して、黒色の線画の色を変えます。今回は線画全てをR128、G39、B63のワインレッドに変更しました。
線画のレイヤーの透明度を、保護した状態でなぞれば、はみ出すことなく色を変更できます。

次に着色をしていきます。ベースの色をもとに影の色を作っていきます。影は段階に分けて塗っていきますが、その際には四つ目のテクニックを意識して、ベースの色から色相をずらした色にします。影の中の影なんかはさらに影の色から色相をずらした色にしています。

最後に五つ目のテクニックを意識して、レイヤーを合成して仕上げをしました。
今回はオーバーレイで画面のコントラストを調整しました。
ざっくりではありますが、この流れでいつもイラストを描いています。

・光と影のテクニックを使った効果

では最後に今回のお話に関するメリットをお伝えします。線画や着色では、描き方のスタイルみたいなものがいくらでもあるので、今回の方法はなんとなく型にはめすぎていて、イラストの自由な発想であったりとか、個性みたいなものが消えてしまいそうな、そんな気持ちになった方はいないでしょうか。

イラストは気のおもむくままに、自由に描き切るもんだと思う方もいるでしょう。

しかしこの方法は、決して自由な発想や個性を、無くすものではありません。
あなたの中にある発想を、最大限発揮するための、補助をしているだけのものです。

この方法を何度も繰り返して、光の当たり方、影の落ち方を意識することができるようになり、イラストを完成させていく経験を積み重ねていった先には、自然と光と影を落とし込んで描ける日が、来ることもあるでしょう。
まずはあなたの力がそのまま満足いく作品として、完成させるために試してみてください。

ちょっと面倒な方法ですが、私自身がイラストを描いていく中で、まったくラフ画を描き出すことができなかったり、描き始めても線画がイメージ通りにいかないで困ったり、ようやく完成が近づいても何か違うと思って嫌になったり、全然思ったイラストが描けない時期に試してみて、満足いくイラストを描けるようになりました。

満足いくイラストを描いている時間は楽しいですよね。イラストを描いている間が最高に楽しい時間になるよう、今回の方法をぜひ試してみてください。

・要点・復習

では最後に復習です。
今日は満足いく作品を完成させる方法~線画・着色編~というテーマでお話してきました。
光と影を落とし込めていないこと
がその原因です。それを解決する方法として
光と影を描く五つのテクニック
を紹介しました。

一つ目、線画の太さを使い分ける。光と影を意識するんであれば線の太さは一定になることはありません。
二つ目、影になる交差点に影を入れる。これを入れるだけで影がついて立体感がいきなり出てきます。
三つ目、黒を使わない。線画はとりあえず赤ワイン色が汎用性があっていいです。
四つ目、影をつけるときにベースの色から色相をずらした色にする。影の色は基本的には色相も少しズレができます。
五つ目、レイヤーを合成して仕上げをする。使うのは乗算、スクリーン、オーバーレイ、発光の四つです。

ぜひこの方法を使ってみてください。

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